介護・福祉事業者向け業務管理システム「福祉の森」: コラム

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第9回 母の教える究極の包括ケア

母が元気になって歩けるようになった、言葉を話すようになった。

新しいグループホームを開設し、早2か月経ちました。グループホームは「地域密着」といって、その市町村に住んでいる人が優先です。たまたま母は市外に住所があったためなかなか希望してもすぐに入れなかったのですが、双方の市町村の話し合いで無事入居させていただくことができました。

以前利用していたグループホームでの様子をみて、葬式も近いと思い家に引き取ったわけです。私の家で、二人の娘や孫や、孫のお嫁さんが面倒をみて生活するうちに、覚醒できるようになりました。もちろん普通ではあまり知られていない漢方も使いましたが。そしておぼつかないながらも歩けるようになりました。私はというと、6月にクリニックの開院をむかえていたので、「このくらいならグループホームで生活してもよさそう。」と母は私の運営するグループホームへ入ることになりました。朝も昼も夜も一緒に生活し、仕事をしながらもいつでも母の顔をみることができたので、入居の際はちょっと複雑な気持ちでした。もう年ですから、いつ亡くなるかもわからないですから。

しかし、仕事の関係からいつまでも自宅というわけにいきません。また、本人のQOLから考えると必ずしも「自宅が最高」というわけでないのは、医師として長く高齢者に関わってきた体験からわかっているはずのことです。幸いスタッフが認知症のおとしよりを良く理解され、信頼のおける方でしたので、安心して母を預けました。

あっと言う間に3週間が経ち、「今日は土曜日だから、外泊で家に連れてこよう。」と迎えに行った時のことです。「お母さん、外へいきますよ。」「どこへ?」「もう夕方で暗くなってきたわねえ。」「そうねえ。」そして信号が赤で車が20台くらい止まっているところへ来た時、「わあ、すごい。」少しではありますが会話が成立しているのです。車に乗るのも自分の意思で、しかも以前より足、脚が上がるので、介助が非常に楽になっています。グループホームのスタッフの皆さんが、毎日細かいところまでケアをしてくれ、母の好きなレクレーションやリハビリをしてくれたからです。時々施設へ顔を出すのですが、母はいつ行っても起きていて、皆さんとレク活動を楽しんでいます。まり投げのときはすごい。勢いよく投げて、足腰弱くなっても上腕の力はこんなに力が残っているのかと驚かされます。

認知症、特にアルツハイマーは「進行性」といわれ「不可逆的」とわれわれ医師でも思っています。しかし母のこの6か月の経過をみると、決して「不可逆的」でない、むしろかなりのADL,QOLが改善し、棺桶に片足をつっこんだ人が死なずに済んで元気になった感があります。

「キュアは治療、ケアは治療以外の生活全般の関わり」と考えがちですが、グループホームでのスタッフの皆さんの関わりは、治療以上の効果がありそうです。

医療法人ゆりかご  山田思鶴



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